【トップに聞く建設・住宅業界の今】株式会社小川建設

【トップに聞く建設・住宅業界の今】株式会社小川建設

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特集『withコロナ時代の経営戦略』では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中での、業界の現在と展望、どんな戦略でこの難局を乗り越えていくのかを、各社のトップに聞く。

建築施工一筋に成長を続け、2019年に創業110周年を迎えた株式会社小川建設。社是として「道義と技術」を、経営理念に「私たちは、お客様の個性ある建物づくりに廉価で品質の優れた建設技術をもって貢献します」を掲げ、富裕層向けの個人住宅から、アパート、マンションの建築、そして近年では道路舗装などの土木工事へと事業範囲を拡大してきた。建築全般の企画・設計・施工からアフターメンテナンスまでをトータルに提供する同社の経営姿勢の裏にはどんな戦略が隠されているのだろうか。創業精神や、同社の強み・特徴、今後の目標・アクションプランについて、代表取締役社長の田下宏彰氏に話を聞き、探った。

(取材・執筆・構成=松本智佳士)

株式会社小川建設

(画像=株式会社小川建設)
田下 宏彰(たのしも・ひろあき)
株式会社小川建設代表取締役社長
1954年鹿児島県生まれ。
1972年株式会社小川建設入社。工事課長、東関東支店長、執行役員工事本部長を経て、2009年に代表取締役社長に就任した。

110年の歴史を支えてきた創業の精神「道義と技術」

――2019年に創業110周年を迎えられました。長く会社が続いてきた中で、大切にされてきたことはありますか。

弊社は1909年(明治42年)に小川清次郎が創業したのですが、創業の精神に「道義と技術」という言葉があります。この言葉には「優秀な技術者である前に正しい請負人であれ、正しい請負人である前に至誠の人であれ」という意味がこめられています。もっとも大事な経営資源は人である、という創業の精神をずっと徹底して守り続けてきたことが、長く続いてきた秘訣だと考えています。

それに付随して、近年では企業活動の中で4つの柱を大切にしています。1つは「4S+1(挨拶)運動」です。4Sはいわゆる「整理・整頓・清掃・清潔」ですが、+1は「挨拶」を意味しています。4Sの働きやすい環境の中で、挨拶を通じてコミュニケーションを図ることで、優れた品質の建物づくりに励んでいるのです。次に、2006年から展開している「全社員禁煙運動」です。火災の原因となる、タバコの不始末をなくす効果もありますが、時代に先駆けて健康経営に取り組んでおり、「小川建設の社員はタバコを吸わない」とのイメージアップにもつながっています。

そして3つ目の柱が「24時間アフターフォロー体制」です。我々が手がけた建物について不具合などがあれば24時間いつでも対応する、という取り組みです。実際にあったエピソードとして、あるビルで夜中にポンプが止まってしまったとき、私どもの社員が深夜2時に駆けつけたところ、お客さまから「まさか本当に来てくれるとは思わなかった」と驚かれたことを憶えています。最後の4つ目は「有資格者運動」です。プロフェッショナルとして、全社員に建築関係に限らず資格取得を推奨しています。

――建築請負業界における御社の強みや特徴はどういったところでしょうか?

一番の特徴は、営業担当者が現場監督の経験者であるという点です。セールスエンジニアという言葉に近いかもしれません。お客様との打ち合わせにおいても、特に技術系の人間を伴うことなく、営業担当者一人で対応できるようにしています。見積もりや工程管理、安全面に関してもすべてその担当者で対応できるため、お客様の要望にもスピーディーかつ的確に答えられるのがメリットです。現場に精通した者であれば、施工が終わったあとのメンテナンスについてもきめ細かく対応することもできます。また、仕事でご一緒するいろいろな協力業者の方から「小川建設さんとは仕事がやりやすい」というお話をいただくことも多く、人を通じた信頼関係も大きいと感じています。

――御社では企画からメンテナンスまで、一貫したシステムを確立されています。建築一筋ということで、長年施工だけに集中してきたのですが、お客様から土地についての相談を受けることも多くなり、お客様と一体となって事業計画を立てたり、ご提案したりという案件も増えてきました。そこで、企画から設計、施工、メンテナンスまでの一貫システムが自然と生まれてきたのです。不動産投資についても、賃料収入計画の立案や金融機関からの借り入れ交渉などに対応するなど、ワンストップでサービスを提供しています。

小川建設が手がけたマンションの一例

小川建設が手がけたマンションの一例(画像=株式会社小川建設)

シノケングループの中核企業へと成長

――今特に力を入れていらっしゃることはありますか。

弊社では個人住宅からビル建設まで幅広くカバーしておりますが、売り上げの80%ぐらいは分譲や賃貸を含めた住宅系のマンションが占めています。ご存知のように私どもはシノケングループの100%子会社です。シノケングループは投資型マンション、アパートメントの販売や運営管理が主力事業となっており、弊社ではシノケングループと一体となって都市型ワンルームマンションの建設に注力しています。シノケングループは東証JASDAQ市場の上場企業であり、経営基盤の安定という面においても、金融機関を含め取引先の皆様から、非常に安心感を持っていただいております。

――新型コロナウイルスの影響はどうでしょうか。

確かに厳しい状況は続いているのですが、昨年の数字を見るとおかげさまで増収のかたちで終えることができました。今年については、お客様と直接面談する機会が減少しており、最終的な契約に至るまで時間がかかっています。しかし、商談件数は今までと同じ程度なので、そういった意味では昨年並みを維持したいと考えています。現場での感染対策については、三密を避けることや、消毒、体温管理などを徹底していますが、お客様や近隣から騒音の苦情が出たりする関係で、時差通勤や時差労働ができないという悩みはありますね。

――今後の目標や達成に向けてのアクションプランについてお聞かせください。

昨年度の売上高が250億円ぐらいなのですが、3年後には300億円、10年後には500億円を目標としています。我々の得意分野である建築施工をまず増やしていくことに力を入れて、新規のお客様を獲得していくことを考えています。毎年売り上げの20%程度が新規のお客様ということで、やはりシノケングループの一員となったことがいい影響を及ぼしています。また、新規顧客の獲得から、その後もリピーターとしてお付き合いいただくという好循環も生まれています。シノケングループ全体では約1,000億円の売上があり、その25%を弊社が占めていることからすでに中核企業というポジションにあります。今後、グループ全体として、海外事業と新規事業を除き目標2000億円を掲げていますので、弊社としても500億円を目標に全体売上の25%を維持していきたいと考えています。

――最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

我々は110年以上、施工一筋でやってまいりました。建築施工に関しては、自信と誇りを持っております。建物に関することでしたら、ぜひともご相談いただければと思います。きっと皆様のお力になれると思っておりますので、お声かけいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

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