キャッシュアウトを引き延ばすために 開業医の引退後のライフプランを考える

キャッシュアウトを引き延ばすために 開業医の引退後のライフプランを考える

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人生100年時代においてセカンドライフの期間は確実に伸びています。

キャッシュアウトを引き延ばすために 開業医の引退後のライフプランを考える

(画像=出典:厚生労働省「令和元年簡易生命表の概況」)

平均余命は、平均寿命とは異なりある一定年齢になった人が残り何歳まで生きるかを統計的に算出したものです。厚生労働省が公表している「令和元年簡易生命表の概況」によると例えば60歳の男性は23.97年 女性は29.17年生きるのが平均だと読み取れます。平均余命は、平均寿命より長く出るのが一般的です。

開業医は平均何歳まで働くか 診療科目ごとの平均値は?

キャッシュアウトを引き延ばすために 開業医の引退後のライフプランを考える

(画像=PiyawatNandeenoparit/stock.adobe.com)

開業医の人たちが多く使っている「m3.com(エムスリー)」というサイトがあります。その調査によると内科医と外科医の方々が何歳まで働きたいか、という希望年齢の調査結果がまとめられており、内科医、外科医共に約7割の医師は、75歳までの引退を考えているようです。開業医の場合、定年は自分の判断で決めることができます。引退後のクリニック経営は「子どもに継がせる」「外部から知り合いの医師を連れてくる」などケースはさまざまです。現在60歳の開業医が仮に70歳で引退することを想定すると男性医師で約14年 女性医師で約19年が、セカンドライフの期間と考えられます。

セカンドライフの期間、押し寄せる加齢と健康の問題にさいなまれながら「いかにソフトランディングをしていくか」が大きな課題です。生活に必要な資金を確保するため日々の生活費をマネージメントし資産減少の恐怖を克服するといったお金との付き合い方が必要となります。

資産運用の「エアポケット」世代の資産運用方法とは

現在50歳までの現役開業医は、NISAやiDeCoを使って資産形成を行っていくことができます。これらの制度は、税金上のメリットを最大限活用しながら資産形成を行っていくのに最適な方法です。「長期」「分散」「積立」といった投資手法の定番を駆使しながら運用することができます。例えば毎月10万円を20年間、利回り3%で積み立てると以下のようになります。

元本 利息 元本+利息
10年後 1,200万円 約197万4,000円 約1,397万4,000円
20年後 2,400万円 約883万円 約3,283万円

※年1回の複利計算、利息にかかる税金は考慮しない)

長期運用をすればするほど複利効果が出て利息が指数関数的に上がってきます。そのため年齢が若いときから準備をすれば「時間」を味方につけることができ老後資産形成は盤石なものになるのです。しかし50歳台後半以降は、若い時代に通用した「長期」は使えなくなります。とはいえ金融資産の取り崩しも現実的ではありません。

50歳代後半~60歳台にかけては、老後資産の「エアポケット」状況に陥っている状態です。「エアポケット」時代の資産運用のコツは、以下の3つの方法が考えられます。

  • 安全性の比率を高めた金融資産運用
  • 今までの資産を頭金に相続税対策も兼ねた不動産投資
  • 500万円の非課税限度額の生命保険に加入していなければ終身保険を

一般的に50歳台以降は、積極的な金融資産運用よりも債券中心とした安全性を高めた資産運用も一考です。「長期運用」という武器が使えない世代では、安全運転に切り替えて金融資産の価格のボラティリティ(上下動)をできるだけフラットにすることがリスクヘッジとなります。ただし金融資産を子どもなどへ相続することが前提の場合、「自分の世代+子ども世代」と考えることで株式に比重を置いた積極運用を行っていくことも方法の一つです。

また相続税対策としての不動産投資も考えられます。日本全体の人口減少が注目を浴びる中で相続税対策としての不動産投資は、購入する場所を間違えなければ有効です。手持ちのキャッシュを不動産へ振り替えることで相続税評価額が減少する仕組みを有効活用し「家賃収入+相続税対策」を同時に行う手法といえるでしょう。

最後に相続税対策として有効な、法定相続人一人あたり500万円の生命保険の非課税枠を使うことです。近年は低金利時代のため、以前のようなある程度のリターンが見込める生命保険商品はなかなかありませんがそれでも定期預金をするより有利なことは間違いありません。終身保険を選択することで被保険者の死亡時には必ず保険金を手にすることができます。

「契約者」「被保険者」「保険金受取人」を間違いなく設定することで確実な相続税対策の手法の一つとなるでしょう。もしこの仕組みを使っていない場合は、早めに考えておくことをおすすめします。

開業医のセカンドライフにおける資産取り崩しの考え方

開業医の場合、一般的なビジネスパーソンと比較して少し長く働くことが可能です。ただし「60歳以降に雇用延長などで働きその結果収入が大きく下がる」ということはあまり現実的ではありません。ということは、「働いて収入を得る期間」「その間の収入」の2つにおいてビジネスパーソンと比べても非常に有利なポジションにいることになります。

さらに取り崩し方を工夫することで少しでもキャッシュアウト(金融資産が枯渇するタイミング)を先延ばすことが可能です。今まで日本では、金融老年学(ファイナンシャル・ジェロントロジー)という考え方があまり聞かれませんでした。しかし高齢化社会が進む時代においては、高齢者の資産運用をその取り崩し方が非常に大切になってきます。その中で「老後の生活費をどう考えるか」ということです。

開業医は、一般的に高い生活水準を維持している人が多いため、そのライフスタイルを崩すことはなかなか難しいでしょう。一般的には、仕事を終えた時点での収入をもとに生活費が固定される可能性が高いといわれています。収入が減少することが分かっている中でも「なかなか生活水準を落とすことは難しい」ということはよく言われることです。

退職時点での収入と生活費の割合を「目標代替率」と呼びます。開業医は、目標代替率の絶対値が高く出る傾向にあります。今までがんばって働いてきた気持ちを否定することはできません。キャッシュアウトの時期を少しでも先延ばしするためには、「費用を削るか」「お金に働いてもらうか」といった2択になるのです。

そこで引き出し方法の一つとして「定率引き出し」をおすすめします。「定率引き出し」と対になる言葉は「定額引き出し」です。定額引き出しは、イメージしやすいのではないでしょうか。毎月公的年金のインカムを得ると同時に今までの金融資産を毎月10万円ずつ取り崩す方法です。一方「定率引き出し」は、そのときの金融資産残高にある一定の率をかけた金額を引き出す方法となります。

仮に定率引き出しを4%としましょう。現時点で5,000万円の金融資産がある場合、年間4%の200万円を取り崩すイメージです。これを繰り返していくと金融資産が減ってくると同時に取り崩し額も減ってくるため、キャッシュアウトの時期が先延ばしできることになります。今まで注目を浴びてきませんでしたが高齢化時代では、取り崩しの方法も大切な時代になっているのです。

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