アフターコロナ時代のインフレに警戒を 資産防衛のための方法とは

アフターコロナ時代のインフレに警戒を 資産防衛のための方法とは

あわせて読みたい

バブル崩壊以降、長らくデフレに苦しんだ日本で「インフレに警戒を」と言われてもピンとこない人が多いかもしれません。しかし足元では「コロナショックによる不況=デフレの再来」を警戒する論調が大半なのが現実です。ここでは、アフターコロナ時代におけるインフレの可能性とそのリスクヘッジについて考えてみます。

かつてのインフレ型企業経営

自社ビル

(画像=BillionPhotos.com/stock.adobe.com)

デフレ慣れしてしまった感覚では、かつて日本にインフレの時代があったこと自体を忘れてしまっている人もいるのではないでしょうか。例えば1960年代の高度経済成長から1973年の第1次オイルショックごろは、年率10%を超えるインフレが進行していました。総務省の「2015年基準消費者物価指数」によると、年度平均は2016年マイナス0.1%、2019年0.5%に対して、1973年が15.6%、1974年は20.9%です。

消費者物価指数
(年度平均)
1973年 15.6%
1974年 20.9%
2016年 -0.1%
2019年 0.5%

(参照:総務省「2015年基準消費者物価指数」)

このような激しいインフレが進行している環境下での企業経営は、現在とはまるで違うポジションを取ることになります。なぜならインフレ局面では、一般的に以下のような3つの傾向が生じるからです。

  • 在庫評価益
  • 固定資産評価益
  • 債務者利得

1.在庫評価益

コストの安い時期に生産された製品を販売せずに在庫として抱えておくと、価格が高くなっていきます。在庫保有量が多ければ多いほど企業の利益額は増加するのです。

2.固定資産評価益

土地・建物の安い時期に工場や自社ビルなどを購入しておけばインフレによる価格上昇により大きな資産効果を得ることができます。

3.債務者利得

原料や不動産を購入するにあたり、借入金や社債などによって資金調達すれば返済額の実質価値の目減りによって利得を得ることができます。つまり借入金をできるだけ大きくして、工場や自社ビルを取得し原料と労働力を調達して生産を拡張させていく「拡大再生産」がインフレ局面では合理的な経営スタンスとなるわけです。

周知の通り日本経済はバブル崩壊後デフレ局面を迎えました。こうした環境下では前述したような経営スタンスは否定されます。なるべく在庫を抱えず生産から販売・入金までの回転を早め、自社ビルなどは保有せずに賃借し雇用も減らしてアウトソーシングする「持たざる経営」がトレンドとなったのです。

コロナショックで経済は停滞したが好転の兆しも

問題は、今後日本が「インフレに向かうのか」「デフレに向かうのか」ということです。それを見定めるには、コロナショックとその対策について概観する必要があります。コロナショックはさまざまな産業分野にダメージを与えています。内閣府が公表している「2020年4~6月期四半期別GDP速報(2次速報値)」によると国内総生産(GDP)は、前期比マイナス7.9%を記録し3四半期連続のマイナスとなりました。

年率に換算するとマイナス28.1%となり戦後最悪の記録です。もちろん日本だけではなく世界の主要国(日本、米国、英国、中国、カナダ、ユーロ圏の計24ヵ国)の2020年4~6月期の実質GDPは前年同期比9.1%の減少となり、リーマンショック時の約3.5倍の落ち込みを記録しています。世界の大半の国ではロックダウンが実施され日本では緊急事態宣言下での行動制限要請があり経済活動の著しい制限が行われたことが大きな下落要因です。

リーマンショックとの最大の違いは、どういったことでしょうか。リーマンショックは、金融不安による危機でしたがコロナショックは人と物が回らないことによる経済停滞です。今後の見通しは不透明ですがコロナショックは直接金融危機には結びつかないため、ロックダウン解除や将来的なワクチン・特効薬の開発が進めば世界経済は急速に好転する可能性があります。

一方で日本・米国・欧州はじめ世界各国は協調して金融緩和を行いました。史上類例を見ない規模でマネーが市場に投入されたのです。例えば米国の連邦準備理事会(FRB)は2020年6月10日に政策金利のゼロ誘導を2022年末まで延長、米国債を月800億米ドル(1米ドル105円換算で約8兆4,000億円)、住宅ローン担保証券を月400億米ドル購入維持することを決定。

欧州中央銀行(ECB)は、2020年3月18日で資産購入枠を7,500億ユーロ(1ユーロ120円換算で約90兆円)としていました。しかし2020年6月4日のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で1兆3,500億ユーロ(1ユーロ120円換算で約162兆円)と約6,000億ユーロも拡大する追加金融緩和を決定したのです。

その効果は絶大で米国株価は急回復し2020年8月24日のS&P500種株価指数は過去最高値を更新しました。これを追うように同年9月3日、日経平均株価がコロナショックによる暴落前の水準(同年2月21日)を約6ヵ月半ぶりに回復へと至りました。さらに株式市場だけでなく実体経済にも好転の兆しは現れてきました。

大和総研が発表する米国経済の分析レポート「米国経済の見通し回復の雲間から見える不安」によると、米国の2020年7月小売売上高(含む飲食サービス)は前月比プラス1.2%です。また6月、7月ともに感染拡大前(同年2月)の水準を上回りました。さらに同年7月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月差プラス176万3,000人となり市場予想を上回る改善幅となっています。

日銀の金融緩和は継続

日本経済の見通しはどうなっているでしょうか。アベノミクスで前内閣の安倍晋三首相とタッグを組んできた日本銀行の黒田東彦総裁は2020年9月17日、金融政策決定会合後に記者会見し「菅義偉(すがよしひで)内閣発足後も前内閣との間で結んだ2%物価目標を変更の必要はない」と明言しました。そのため量的・質的金融緩和は今後も継続される見通しです。

菅新政権の直近の最重要政策は当然コロナ対策となります。しかし感染症拡大防止に努めつつも経済社会活動の再開をいかに両立させるかが大きな課題です。菅首相は、政権発足の記者会見の中で「経済の再生は引き続き政権の最重要課題」「集中的に改革をして必要な投資を行い再び強い経済を取り戻したい」と述べています。

すでに安倍前首相のもとで2次にわたるコロナ対策のための補正予算が組まれ事業規模は約108兆円です。しかし2020年9月30日に自民党の二階幹事長は「大幅で思い切ったことをやる」と話し第3次補正予算へ踏み切る意向を示しています。

市場はインフレを意識し始めている

市場に巨大なマネーが温存されたまま経済が回復すると、どのようなことが起こるのでしょうか。過度な金融緩和によって通貨量が経済の適正水準を大きく上回ってしまう「過剰流動性」の状態に陥ってしまう可能性があります。「過剰流動性が今後インフレを引き起こすのではないか」という懸念が生じているのです。

それを裏付けるように金(ゴールド)の高騰が進行しています。物価が上昇して貨幣価値が下がるインフレ時には、価値が下落しない実物資産として金を購入する動きが活発になる傾向にあります。2020年7月27日、ニューヨーク商品取引所の先物市場では金が史上最高値を更新、1トロイオンス1,938米ドルを付けました。その後も上昇し、同年8月には2,067.15米ドルまで達したのです。

ちなみに同年同月の日本における小売価格の最高値は1グラム約7,063円です。将来的に世界経済が「インフレに向かうのか」「デフレに向かうのか」については誰も断言することはできません。しかし金の価格動向は市場がインフレ懸念を抱いていることを示唆しているとも言えるでしょう。

インフレをヘッジする資産防衛法とは

アフターコロナを見据えると、かつてなくインフレリスクへの意識が必要な時代に突入したのかもしれません。インフレは、企業の持つ現金・預貯金を確実に縮小させます。つまり「いざインフレが始まったと気づいたときには手遅れ」ということがあり得るのです。インフレへの主なヘッジ方法は、以下の3つが挙げられます。

  • 現金、預貯金を株式、投資信託などのリスクマネーに変える
  • 円建て資産を外貨建て資産に変える
  • 金などの実物資産を購入する

株式・投資信託には、価格騰落のリスクがあります。コロナ禍におけるインフレは、世界的な傾向になる可能性が高いため、外貨建て資産も対策としては妥当ではありません。インフレリスクへの対策としては、伝統的に実物資産取得が王道とされています。その指標の一つとなる金が史上最高値を付けていることも見逃せません。

より企業経営に直結する方法の一つとして、「ビジネスのための不動産=自社ビルを取得する」という方法があります。前述の通りインフレ局面での自社ビル取得は、以下の2つの効果が期待できるでしょう。

  • 「固定資産評価益」=将来的な物件価格上昇による資産効果
  • 「債務者利得」=借入金の実質価値軽減

なかでも東京都心部・商業地のオフィスビルは「資産価値の保存・拡大」という意味で有力な候補です。事実インフレ局面ではない近年でも価格が上昇を続けています。2020年地価公示価格で東京の商業地は7年連続の上昇を示しているのです。また2020年9月に公表された「2020年の基準地価(2020年7月1日時点)」でも三大都市圏の商業地は0.7%とかろうじてプラスでした。

課題は「東京都心部・商業地のオフィスビル取得には多大な費用がかかる」という点でしょう。そこでイニシャルコストを下げる方法の一つとして検討したいのが「区分所有オフィス®️」です。「区分所有オフィス」は、高品位の中規模オフィスビルを1フロアごとに分譲するスキームとなっています。

このスキームを利用すれば東京都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィスビルを約1億円から中心価格帯は2~3億円程度で購入することが可能です。インフレヘッジになり東京のブランド立地のオフィスビルを取得できる「区分所有オフィス」は、企業経営の力強い味方となるでしょう。

※「区分所有オフィス®️」は株式会社ボルテックスの登録商標です(提供:自社ビルのススメ

【オススメ記事 自社ビルのススメ】
「都心にオフィスを持つ」を実現するには
資産としてのオフィスを所有し戦略的に活用するには
今の時代は「オープンフロア・オフィス」そこから生まれるイノベーションへの期待
自社ビルのメリット・デメリット
CRE戦略としての自社ビル

続きを見る(外部サイト)

zuu onlineカテゴリの最新記事