相続税の申告は10ヵ月以内!申告の方法やペナルティも解説

相続税の申告は10ヵ月以内!申告の方法やペナルティも解説

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相続税の申告はやっても一生に1~2回だろう。なじみがないので不安を感じる人が少なくない。そのような人に向けて、今回は相続税の申告の基本について解説する。

鈴木まゆ子

鈴木まゆ子
税理士・税務ライター
中央大学法学部法律学科卒業後、㈱ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。「ZUU online」「マネーの達人」「朝日新聞『相続会議』」などWEBで税務・会計・お金に関する記事を多数執筆。著書「海外資産の税金のキホン(税務経理協会、共著)」。

相続税の申告に関するQ&A

相続税の申告の基本

(画像=PIXTA)

最初に相続税の申告によくある3つの質問に答えよう。

Q


相続税の申告はどんなときに必要なの?

相続税の申告は正味の遺産総額が基礎控除額を超えたときに必要になる。基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」だ。評価額を下げた結果、相続税額が0円になることがある。このような場合でも「正味の遺産総額>基礎控除額」なら申告は必要だ。

相続税の申告は正味の遺産総額が基礎控除額を超えたときに必要になる。基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」だ。評価額を下げた結果、相続税額が0円になることがある。このような場合でも「正味の遺産総額>基礎控除額」なら申告は必要だ。

Q


税理士に頼むといくらかかるの?

事務所によって課金体系が異なるが、大半の税理士事務所は遺産総額の0.5~1%となっている。ただし遺産総額が1億円を超えると報酬額が少し低くなる。相続人の人数や相続財産の内容によっては別途料金がかかることもある。

事務所によって課金体系が異なるが、大半の税理士事務所は遺産総額の0.5~1%となっている。ただし遺産総額が1億円を超えると報酬額が少し低くなる。相続人の人数や相続財産の内容によっては別途料金がかかることもある。

Q


10ヵ月以内に申告できないとどうなるの?

相続税の申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10ヵ月を経過する日」で、よく「10ヵ月以内」といわれる。申告・納税がこの期限を過ぎると、無申告加算税や重加算税、延滞税といったペナルティの税金を余計に払うことになる。

相続税の申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10ヵ月を経過する日」で、よく「10ヵ月以内」といわれる。申告・納税がこの期限を過ぎると、無申告加算税や重加算税、延滞税といったペナルティの税金を余計に払うことになる。

相続税の納付は10ヵ月が期限

相続税の申告方法に触れる前に相続税の納付期限を確認しよう。

●「相続開始を知った日」から10ヵ月以内

相続税の納付期限は「相続開始を知った日の翌日から10ヵ月を経過する日」だ。平たく言うと「相続開始を知った日から10ヵ月以内」だ。大抵は「相続開始を知った日=被相続人の死亡日」になる。

「~を知った日」となるのは、状況によっては相続人が被相続人の死亡を知るのが遅くなる。それを考慮した期日となっているのだ。

●納付も申告と同じ期限

なお、納税も申告と同じく、相続開始を知った日から10ヵ月以内に済ませなくてはならない。遅れると延滞税がかかる。

相続税の申告が必要なケース・不要なケース

亡くなった人の財産を引き継いだからといって、必ず相続しないといけないわけではない。申告が必要なケースとしなくてよいケースがある。また「一見しなくてもよさそうだけど実は必要なケース」もあるので注意したい。

●必要なケース

相続税の申告が必要なのは「正味の遺産総額が基礎控除額を超えるとき」だ。基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算する。基礎控除額の内容や法定相続人の考え方、正味の遺産総額の意味は次の記事を参考にしてほしい。

【参考】相続税の基礎控除について徹底解説!

●不要なケース

相続税の申告がいらないのは、必要なケースと逆だ。「正味の遺産総額が基礎控除額以下のとき」である。

●税額0円のときは要注意

よくある誤解が「試算した結果、相続税額0円になったから申告しない」というものだ。相続税の計算過程で、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減といった制度を利用した結果、納めるべき税額が0円になることがあるからだ。

これらの制度は申告書の提出を条件にしている。税務署側で内容を確認しないと、適切に計算したかどうか分からないからだ。無申告だと適用されず、後日税務署から連絡があり、無申告加算税といった余計なペナルティを支払う破目になりかねない。

「正味の遺産総額」は各種節税策を講じる前の金額で判断しよう。

相続税の申告の手順とは

相続税の申告は時間がかかる。財産を相続し、相続人や受遺者の所有にするまでのプロセスが多岐にわたるからだ。具体的には次のようになる。

1.遺言書の調査・確認

最初に必要なのが遺言書の調査・確認だ。民法では財産の承継に関し、被相続人の意思を尊重しているので、遺言書が最優先だ。相続が始まったら早々に探し出そう。

2.相続人の調査・確定・戸籍謄本の取得

遺言書による指定のない財産は、法定相続人(民法上の相続人)が相続する。誰が法定相続人になるのかを確認・確定しなくてはならない。故人の出生から死亡までの途切れない戸籍を取ることで確定させる。相続人全員の現在の戸籍も必要になる。

3.相続財産の調査・把握・評価

名義変更や相続税の申告を含め、すべての相続財産を押さえなくてはならない。自宅にある預金通帳を探すほか、金融機関や市区町村から届く郵便物から相続財産を探していこう。不動産については、登記簿や固定資産税の決定通知書から確認する。

また相続財産には預貯金のようにすぐに金額が分かるものだけではない。有価証券や不動産、骨とう品など評価が必要なものもある。これらの評価はすべて相続税の財産評価基本通達に則って行う。財産によっては難しいものもある。

【参考】相続税申告の遺産の時価は実際の時価とは限らない

ほかにも故人の借金や未払債務も相続税の計算に必要になるので漏れなく探し出そう。

4.遺産分割協議の実行

相続人同士で遺産分割協議を行い、誰がどの遺産を引き継ぐかを話し合う場だ。特別受益や遺留分、寄与分に注意したうえで、お互いが納得いくように話し合いを進めよう。

5.遺産分割協議書の作成

遺産分割協議の結果を記載した文書で、相続財産の名義変更や相続税の申告の際に必要な書類だ。相続人全員の署名・押印に加え、全員分の印鑑証明を用意しなくてはならない。

6.相続税の申告書の作成

遺産分割協議書の内容に従って相続税額を計算する。先ほど相続財産や債務・未払債務について触れたが、相続税の計算では次のようなものも加味しなくてはならない。

  • 死亡日以前3年間の贈与
  • 相続時精算課税制度の対象となった贈与
  • 死亡保険金・死亡退職金など(みなし相続財産)
  • 非課税財産
  • 葬式費用

さらに「相続人が配偶者や未成年、障害者のどれかに該当する」「前の相続から10年経過していない」「相続財産に加算した贈与財産につき支払った贈与税がある」といった事情があるなら、税額控除の適用も考慮しなくてはならない。こういった諸々を考慮したうえで、相続人・受遺者それぞれで申告書を作成する。

7.相続税の申告書の提出・納税

各自で申告期限までに申告書を提出し納税する。なお相続人はお互いに連帯納付義務を負っている。1人が納税しないでいると、他の相続人が支払う破目になる。最悪の場合、財産を差し押さえられるので注意したい。

遺産分割が申告期限に間に合わないときは

相続税の納付額は実際に相続した財産に応じて決まる。そのため遺産分割協議が申告期限までに完了していないといけない。しかし中には遺産分割協議がなかなか進まないケースもあるだろう。

この場合、未分割のまま申告する。つまり法定相続分で引き継いだことにして相続税額を計算・申告するのだ。後日遺産分割協議が成立したら、申告をやり直す。この際「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておこう。申告のやり直し時に配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用が受けられる。

相続税の申告が間に合わなかったときのペナルティ

相続税の申告や納付が期限後になると次のようなペナルティが生じるので注意したい。

●無申告加算税

本来の申告期限後に申告書を提出したときにかかる罰金的な税金だ。原則、本来納付すべき税額のうち50万円以下の部分については15%、50万円超の部分については20%の税率で計算される。

しかし無申告にせざるを得なかった事実に関して正当な理由があったり、本来の申告期限から1ヵ月以内に申告したりすれば、無申告加算税はかからない。また1ヵ月過ぎて申告しても、税務調査の通知前に自主申告すれば5%の税率に軽減される。

●重加算税

重加算税は無申告が悪質だと見られるときにかかる。「証拠書類の破棄」「数字のごまかし」といった仮装・隠ぺいがあったと認められるときの罰金的税金だ。既述の税率の代わりに一律「本来納付すべき税額×40%」で納めることになる。

●延滞税

延滞税は納税が法律に定められた納期限より遅れたときにかかるペナルティだ。相続税法は相続開始を知った日の翌日から10ヵ月を経過する日を申告・納税の期限としている。2020年現在、法定納期限後に納めた税額に対し、納期限の翌日から2ヵ月以内分は年2.6%、その後の期間分は年8.9%の税率で計算される。

●連帯納付義務の発生

相続税の申告・納税に関しては、連帯納付義務があることを留意しておきたい。被相続人の財産を受け取った人はすべてお互いの納税に連帯責任がある。相続人か受遺者か、面識があるかどうかは関係ない。納税しない人に税務署がいくら督促しても納税されないとき、他の相続人に請求される。ただし、請求額は「納付していない人の納付すべき相続税額-自分が支払った相続税」となる。

相続税の申告に必要な書類

相続税の申告には、相続税の申告書のほか、次のような書類が求められる。

  • マイナンバーカードの写し(通知カードなら運転免許証などの身分証の写しも必要)
  • 被相続人のすべての相続人が分かる書類(戸籍謄本か法定相続情報一覧図の写しなど)
  • 遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し、あるいはその両方
  • 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印した印鑑のもの)
  • 相続財産に関する資料

このほか、申告内容によって添付書類が異なる。国税庁が納税者向けに出しているチェックシートなどで確認しよう。

【参考】相続税の申告の際に提出していただく主な書類(国税庁)

相続税の申告方法

相続税の申告方法は現在、次の2つがある。

  • 書類で提出
  • e-Tax(電子申告)で提出

2019年10月1日から相続税の申告書はe-Taxで提出できるようになった。しかし2020年10月現在、あまり活用されていない。事前の準備が必要なうえ、少し手続きが複雑だからだ。

一般人だけでなく、税理士などの専門家でも活用する人は少ない。一般人が申告するなら従前どおり書類提出が無難だろう。

相続税の申告を税理士に依頼すべきなのはこんなとき

相続税の申告は一般人でもできる。しかし申告書の内容の理解や添付書類の準備は厄介だ。特に次のようなケースなら、税理士に依頼したほうが早いし、間違いがない。

  • 遺産総額が1億円超
  • 遺産の大半が不動産である
  • 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使いたい

相続税の申告を税理士に依頼したときの費用

相続税の申告を税理士に依頼するときは「遺産総額×0.5~1%」が報酬の相場だと考えておくとよいだろう。なお遺産総額が1億円を超えると、報酬額が割安になることが多い。ただし、相続人が多かったり、相続内容が複雑だったりする場合、別途報酬を求められることがある。

報酬のほか、税理士との相性も重要だ。依頼をする前に、何社か面談してみるとよいだろう。

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