小規模企業共済とiDeCoの仕組みとメリット・デメリット!中小企業の経営者や個人事業主は必見

小規模企業共済とiDeCoの仕組みとメリット・デメリット!中小企業の経営者や個人事業主は必見

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小規模企業共済・iDeCo(個人型確定拠出年金)は、いずれも中小企業の経営者や個人事業主が退職後の生活資金の一部を準備できる制度である。現役時代に積み立てた掛け金を退職後に一時金または年金で受け取る制度だ。今回はこの2つの制度の仕組みメリット、活用する際に知っておきたい注意点などを解説する。

小規模企業共済の概要

小規模企業共済とiDeCoの仕組みとメリット・デメリット!中小企業の経営者や個人事業主は必見

(画像=beeboys/Shutterstock.com)

小規模企業共済は、国の機関である中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する退職金制度で小規模企業の経営者や個人事業主の廃業・退職後の生活の安定や事業の再建などのために退職金や一時金を準備する目的で発足した制度である。また経営者・個人事業主は一般の従業員と比較して社会保険や労働保険等の社会保障が少ないため、これらの不足を補てんする意味合いもある制度だ。

掛け金を毎月払い込むことによって法人の役員は、以下のようなケースで「共済金」が受け取れる。

・法人の解散
・自身の疾病・負傷・老齢による退任
・自身の死亡時に個人事業主は事業の廃止
・自身の死亡時、一定の条件を満たした65歳以降

また役員・個人事業主のほか個人事業主の「共同経営者」も加入することも可能だ。小規模企業共済に加入後、加入者が共済金の「請求事由」を満たした場合、掛け金の額と納付月数に応じて共済金が支払われることになる。さらに掛け金の納付期間に応じて限度額の範囲内で事業資金等や事業承継・廃業準備のための資金等を借り入れができる「貸付制度」の利用が可能だ。

「小規模企業」や個人事業主をサポートする制度であるため、一定規模以上の企業・個人事業主は加入することができず加入資格は下記の通りである。

1建設業、製造業、運輸業、不動産業、農業、サービス業(宿泊業、娯楽業に限る)など
従業員数が20 人以下の個人事業主または会社の役員
2商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)従業員数が5人以下の個人事業主または会社の役員
3組合員数が20 人以下の企業組合の役員、従業員数が20 人以下の協業組合の役員
4従業員数が20 人以下であって農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
5従業員数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
6上記1、2に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(事業主1人につき2人まで)

小規模企業共済のメリット、デメリットは?

次に、小規模企業共済のメリット・デメリットについて解説する。メリットは大きく次の3つ、デメリットは2つが挙げられるため、これらの内容を確認したうえで加入を検討していただきたい。

・メリット1:掛け金は全額所得控除
・メリット2:共済金受取時の税制優遇
・メリット3:貸付制度の利用が可能

メリット1.掛け金は全額所得控除

掛け金は毎月1,000~7万円の範囲で500円単位の設定が可能だ。一度設定した掛け金は加入後の経営状況などに応じて増額・減額できるため、柔軟な積み立てを行えるといえる。また掛け金の全額を「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除が可能で税軽減効果も見込めるだろう。なお掛け金は契約者個人の収入から払い込むため、事業上の損金または必要経費には算入することはできない。

【所得控除による税軽減効果】

課税される所得金額 加入前の税額(所得税+住民税) 加入後の税軽減効果(年)
掛け金月額1万円 掛け金月額3万円 掛け金月額7万円
600万円 139万3,700円 3万6,500円 10万9,500円 25万5,600円
800万円 203万4,200円 4万100円 12万500円 28万1,200円
1,000万円 280万6,000円 5万2,400円 15万7,300円 36万7,000円

メリット2.共済金受取時の税制優遇

共済金は退職・廃業時など請求事由に該当した場合に受け取ることができる。受取方法は「一括」「分割」に加えて共済金の額によって「一括と分割の併用」も選択可能だ。受取の際は任意解約などの場合を除き一括受取の場合は「退職所得」、分割受取の場合は「公的年金等の雑所得」となり税制メリットがある。

メリット3.貸付制度の利用が可能

掛け金の納付期間に応じた「貸付限度額」の範囲内で低金利の貸付制度を利用することができる。事業資金の貸付である一般貸付のほか、緊急経営安定貸付、傷病災害時貸付、福祉対応貸付、創業転業時・新規事業展開等貸付、事業承継貸付、廃業準備貸付といったさまざまな貸付の利用が可能だ。

このように小規模企業共済に加入することで退職金準備と合わせて主に「掛金支払期間の所得控除」「受取時の税制優遇」「貸付制度の利用」の3つのメリットを享受できる。一方デメリットは大きく分けて以下の2つだ。

・デメリット1:早期の任意解約時等の受取額
・デメリット2:掛け金の減額時の取り扱い

デメリット1.早期の任意解約時等の受取額

加入から早期に解約などをした場合には掛け金が掛け捨て、または受取額が掛け金を下回ってしまう場合がある。共済金などの種類によって6ヵ月未満または12ヵ月未満は掛け捨てとなり共済事由に該当しても共済金などは受け取ることができない。また解約手当金は240ヵ月未満の場合、掛け金合計額を下回ってしまう。

デメリット2.掛け金の減額時の取り扱い

掛け金を途中で減額する場合にも注意が必要である。例えば掛け金月額を5万円から2万円に減額した場合、それまで納付した3万円部分については減額時点で掛け金納付月数がストップしてしまう。加入からの納付月数が240ヵ月を超えていても減額部分の納付月数が240か月未満になるケースが考えられ、その後解約をした場合には解約手当金が掛け金納付総額を下回る場合がある。

このようなデメリットがあるため、小規模企業共済へ加入する場合には、できるだけ減額・解約をしないよう継続して支払える掛け金で続けていくことが大切だ。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の概要

確定拠出年金は、公的年金の給付額の上乗せを目的とした私的年金制度だ。確定拠出年金には「企業型」と「個人型」の2種類がありiDeCoは個人型となる。企業型は制度を導入している企業の従業員が加入者となりiDeCoは自営業者や専業主婦など企業型に加入できない人を対象とした制度だ。また企業型が導入されていない企業の役員・従業員や公務員、さらに企業型や「確定給付型」年金を導入している企業の従業員も要件を満たせばiDeCoに加入することができる。

iDeCoは加入者自身が申し込み・掛け金の拠出・運用方法の選定をして掛け金の運用を行っていき将来の給付額が決定するのが特徴だ。掛け金の合計額とその運用収益との合計額を基に給付額が決まり掛け金の拠出額が決まっていることから「確定拠出」年金と呼ばれている。掛け金は5,000円以上1,000円単位で設定でき年間の拠出限度額は以下の表の通り加入者によって異なり最高81万6,000円(自営業者の場合)となる。

企業年金制度を導入していない中小企業は従業員の老後の所得確保支援を目的とした「iDeCo+」を導入することも可能だ。従業員の掛け金との合計がiDeCoの拠出限度額の範囲内(月額2万3,000円以下)でiDeCoに加入する従業員の掛け金に追加して事業主が掛け金を拠出することもできる。

・確定拠出年金の対象者・拠出限度額と他の年金制度への加入の関係

小規模企業共済とiDeCoの仕組みとメリット・デメリット!中小企業の経営者や個人事業主は必見

(画像=出典:厚生労働省HP)

このようにiDeCoは公的年金の上乗せという意味合いの制度だ。公的年金と同様に「老齢」「障害」「死亡」の3つの給付があり加入後に制度からの脱退は原則として不可である。また現行の制度では、老齢給付金は加入期間に応じて60歳以降に受け取ることが可能だ。

【iDeCoの給付の種類】

老齢給付金 障害給付金 死亡一時金
給付 5年以上の有期または終身年金
(規定により一時金の選択可能)
5年以上の有期または終身年金
(規定により一時金の選択可能)
一時金
受給要件等 原則60歳で受給可能
(60歳時点で加入者期間が10年未満の場合、支給開始年齢が先延ばし)
8年以上10年未満→61歳
6年以上8年未満 →62歳
4年以上6年未満 →63歳
2年以上4年未満 →64歳
1月以上2年未満 →65歳
70歳に到達する前に傷病によって所定障害状態になった加入者等が、傷病の状態で1年6ヶ月を経過した場合に受給可能 加入者等が死亡した際、その遺族が資産残高を受給可能

iDeCoのメリット、デメリットは?

iDeCoのメリットやデメリットはどんなことがあるだろうか。ここでは3つのメリットを解説する。

・メリット1:掛け金は全額所得控除
・メリット2:運用益が非課税
・メリット3:受取時の税制優遇

メリット1.掛け金は全額所得控除

小規模企業共済と同様に掛け金の全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり加入期間中の所得税・住民税の軽減効果が見込める。

メリット2.運用益が非課税

掛け金は加入者ごとの口座内で定期預金・保険商品・投資信託などの中から選択し運用・売買を行っていく。運用する金融商品は申し込みをする「運営管理機関」ごとに種類・商品数などが異なるが、複数の商品を選択し運用していくことも可能だ。一般的な金融商品は運用益に対して税金がかかるがiDeCoでは運用益は全額非課税となる。

運用益を再投資することも可能で効率的な運用を加入者ごとの口座内で行うことができる。

メリット3.受取時の税制優遇

前述の通り老齢給付金は年金または一時金での受取が可能だ。年金受取の場合は「公的年金等の雑所得」、一時金の場合は「退職所得」となり公的年金や退職金と同様の税制メリットがある。

一方主なデメリットには以下の3つがある。

・デメリット1:運用リスクは加入者自身が負う
・デメリット2:途中で資金の受取は不可
・デメリット3:手続きの煩雑さ、手数料

デメリット1.運用リスクは加入者自身が負う

掛け金は加入者自身が運用し将来の資金を準備していくため、投資信託などで運用を行った場合には元本割れのリスクが生じる。加入者自身が資産運用に対する知識やスキルを身につけていくことが必要だ。

デメリット2.途中で資金の受取は不可

一般的な金融商品は必要に応じて売却・解約などを行い資金の受取が可能だ。しかしiDeCoは公的年金の上乗せの制度であるため、原則として60歳以降でないと運用資金を受け取ることはできない。

デメリット3.手続きの煩雑さ、手数料

iDeCoは金融機関を選択した後に口座開設を行い、その後運用商品を選択するなど加入者自身が行う手続きが多い。また加入時や口座管理に手数料がかかるため、運用利回りが低かった場合には運用資金が思ったよりも増えていないことも考えられる。手数料は金融機関によって異なるため、加入時には運用商品の種類や商品数等に加えて手数料の額も比較・検討のうえ口座開設を行っていただきたい。

税金の軽減や将来の安心のために小規模企業共済とiDeCoを検討しよう

今回解説した小規模企業共済とiDeCoは、将来の生活設計に必要な資金を準備でき加入期間中は税制のメリットもたくさんある制度だ。一方でデメリットや注意点もあるため、内容を理解したうえで有効に活用するのが望ましい。

文・澤田朗(フィナンシャルプランナー・相続士)

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