コロナショックで「限界」…飲食業界はウィズコロナにどう対応すべきか

コロナショックで「限界」…飲食業界はウィズコロナにどう対応すべきか

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新型コロナウイルスの感染拡大で外食産業が窮地に陥っている。ようやく収束が見え始め、緊急事態宣言が一部地域で解除された一方で、今度は「ウィズコロナ」としてどう感染拡大防止につとめていくか、飲食店はどこも厳しい局面に置かれている。経営者にとっては、飲食店で「3密」を防止しながらどう利益をあげていくべきかが今後の課題だ。

コロナ打撃を受ける飲食業界

飲食業界

(画像=bignai/stock.adobe.com)

2月の閑散期を経て、本来なら歓送迎会シーズンで書き入れ時である3月・4月で平時よりも売り上げが激減、さらにGWすら休業せざるを得ず、“さすがに参ってしまった”という飲食店も多い。5月に入ってからテイクアウト・デリバリーの需要を受け、新体制が整いつつも、従来の売り上げに貢献するには程遠いという声もある。

政府や自治体では、制度融資の拡充やデリバリー利用支援など、さまざまな支援策を打ち出している。しかしながら、助成金においては手続きの煩雑さから充分な資金補填ができず、飲食店の資金繰りはお手上げ状態だ。

今後、感染拡大が落ち着いても、ライフスタイルは大きく変わることが予想されている。先行きの見えないコロナショックの中、膨れ上がる借り入れに対する心理的負担も大きく、飲食店経営者にとっては想像を絶する苦境といえるだろう。

売り上げを補填することで生じる借金への不安

売り上げが減少したことにより、人件費や原材料費などのランニングコストの捻出が難しくなっている飲食店も少なくない。そのため、助成金の利用や銀行からの融資を検討している経営者も多いだろう。しかしながら、そういった制度の利用にはリスクもあるため、しっかりと考え抜いた上で活用することが重要だ。

雇用調整助成金の効果は不透明

アルバイトなどの非正規労働者も多い飲食業では、雇用問題が深刻化している。なんとか雇用の維持を図りたくても、自分の生活すらもままならない中で従業員への給与支払いは決して楽ではない。

これを補助するのが雇用調整助成金だが、実際には申請をしても窓口が混雑していて相談にすらこぎつけない、といった実態がある。助成額が十分でなく、結局飲食店側の負担があるというケースも少なくないだろう。

経営者としては、従業員の生活を守るべく、なんとしてでも解雇は避けたいという切実な思いがある。しかしながら、現実は日々厳しさを増す一方だ。

家賃すらも払えない不安

先行きが見えないことで既存事業の継続に確信が持てず、融資実行に積極的になれない経営者もいる。とはいえ、店を営業しなければ生活費もまかなえず、家賃の支払いが困難な飲食店も多い。これを借り入れで補填しないと、事業継続どころか生活自体が苦しい状況だ。

国土交通省では、不動産業者に賃料の支払いの猶予に応じるなど、柔軟な措置を検討するよう不動産関連事業者に要請している。しかしながら、不動産会社もまたコロナ禍で余裕のある状況とはいえず、誰もが苦境に立たされていると言わざるおえない。

「廃業」を選択する飲食店が増える

融資を受けたとしても、将来に不安がある中では、いくらまでなら借りて良いのか判断がつきづらい。さらに今回の借金はあくまで売り上げの補填であるため、これから何年もかけて返済していかなくてはならない。つまり、設備投資の融資などとは訳が違うのだ。

将来の自分の首をしめるくらいならと自ら店をたたむ判断をする経営者も出てきており、今後は倒産ではなく「廃業」が増える可能性も十分考えられる。

自治体の飲食店支援が活発化

東京都では、営業時間短縮などの要請に応じた中小事業者に対して「感染拡大防止協力金」を用意している。現状を乗り切るためには、これらを活用して新しい事業形態に少しずつシフトすることも検討したい。

都内に限らず、飲食店支援の動きは全国の自治体に広まっており、各地方が独自に支援をおこなっている。デリバリー事業者と提携したクーポン施策なども4月後半から増えてきている。融資を避けたいのであれば、今できることで最大限の利益をあげていくしかないだろう。

テイクアウト・デリバリーへのシフト

自粛解除後も依然として需要が続きそうなテイクアウト・デリバリーだが、飲食店にとっては売り上げへの貢献は限られるため、このまま店舗営業をやめてテイクアウトに100%シフトするという判断にはなりにくい。

そもそも飲食店は本来、料理や飲み物だけではなく、それに付随するサービスなどを含んだ、その場所ならではの食体験を提供するものである。そのため、利益率の高い酒販をしていた店などは、テイクアウトやデリバリーに舵を切るのは経営的にも難しいと言わざるおえない。

一方で、世の中はコロナ禍で生活様式が大きく変わり、今ではこのライフスタイルに慣れ始めている人や逆にオンラインの手軽さなどからメリットすら感じている人も多い。政府が「新しい生活様式」を提案していることからも、需要が以前の状況に戻るというよりは、新しい暮らし方が広がることが予想される。

また、自粛に関係なく、しばらくは景気悪化により中食や自炊が増えるという見方もある。この状況では、今は“仕方なく”テイクアウトやデリバリーに対応している飲食店も、「コロナ禍が過ぎれば元通りになる」とは期待しにくいだろう。

ウィズコロナの考え方

アフターコロナに向けて政府が示す「新しい生活様式」は、飲食店を悩ませるものも多い。たとえば、大皿は推奨されていないことからブッフェやサラダバーは難しい。シェアスタイルの飲食店では事業全体を見直さざるをえないだろう。

このほか短縮営業に席数減など、経営者の心が折れるような状況は察するに余りあるが、そうはいっても経済活動を進めなくてはならない現状がある。

自粛解除で少し世の中が動き出したことを機に、今までは見たことのないような、新しい飲食店の業務形態アイデアが出てくるかもしれない。今の状況が落ち着いて、売上高が従来の半分程度まで回復したら、そういった動向もキャッチしながら世の中の生活様式にあった形に事業を転換していけるよう、準備をしておくことが大切だ。そして消費者側も、消費のかたちは変われども、全力で飲食店を応援していくことが必要だろう。

「廃業」を避けるために今できること

資金繰りが苦しいときこそ、立ち止まっていては状況が悪化する一方だ。クラウドファンディングに挑戦して、支援を呼びかけるのも一つの手だろう。

コロナ禍で、確実に世の中のニーズが変化している。これに対応し、変わるべきところは変わっていくしかない。まずは、感染対策が求められるウィズコロナの条件の中で、自店が貢献できるマーケットをいかに見出していけるかどうかがカギだ。オンラインをうまく活用し、機を捉えた事業転換によって、この状況下でも業績を好転させているケースもある。

シビアかもしれないが、借り入れに頼って「元通り」を待つよりは、柔軟に事業内容をシフトしていくことが生き残るための第一歩となりそうだ。(提供:THE OWNER

署名:木村茉衣

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