コロナショックで売上9割減の「百貨店」、再建と今後はどうなる?

コロナショックで売上9割減の「百貨店」、再建と今後はどうなる?

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新型コロナウイルス感染拡大の影響で、百貨店業界は窮地に陥っている。長期にわたる休業により、売り上げは8~9割減にまで落ち込み、まさに瀕死の状況だ。緊急事態宣言の解除とともに、ようやく営業再開に向けて動き出した百貨店業界は、未曾有のダメージを回復していけるだろうか。

売上9割減!コロナショックが与えた百貨店への影響

百貨店

(画像=7maru/stock.adobe.com)

近年、オンラインサービスの普及などとともに消費構造が変化し、百貨店業界は売上の低迷に頭を抱えていた。インバウンド需要にようやく息を吹き返そうとしていたところに、トドメを刺したのがコロナショックだ。

三越伊勢丹ホールディングスが5月11日に発表した2020年3月期決算によると、売上高は1兆1,191億9,100万円で前期比6.5%減、さらに営業利益は156億7,900万円で前期比46.4%減となっている。

その後、5月15日に発表された売上確報によると、国内百貨店の売上は前年比20.8%と、およそ8割の減少にまで落ち込んでいる。特にインバウンドの恩恵を受けている三越銀座店にいたっては、売上が前年比5.1%と、9割超えの減収となり、桁違いの数字だ。

インバウンド需要の消失

コロナ前から百貨店業界は業績が厳しく、いわゆる“インバウンド・バブル”によって都心の旗艦店が売り上げの大半を支えていた。そんな主力店のインバウンド需要がコロナショックを機に消失し、さらには長期休業にまで追い込まれてしまったのは、もはや察するに余りあるほどのダメージである。

3月度売上速報によると、大丸松坂屋の免税売上は前年比97%減、髙島屋の免税売上は前年比92.5%減と、インバウンド消費がほぼ消失していることを示している。特にインバウンド需要が高い分野、たとえば化粧品などは大きな打撃を受けていることだろう。

コロナ禍で変化した顧客の消費心理

6月以降、たとえ百貨店が通常営業を再開したとしても、コロナ前の需要がすぐに戻るとはいいがたい。さらに第2波の懸念も拭えないなか、インバウンド需要が戻ってくる時期もまだ読めない。

そして、これだけ厳しい不況となってしまうと、消費者も財布のひもを固く締めているため、国内消費は頼りにならない。まして外出自粛意識のもとでは、購買意欲が湧きづらく、いわゆる“お出かけ用の服”や“外出用のメイクアイテム”は必要性にも乏しい。

このような状況から、業界では、店舗営業を再開した後もしばらく消費減少は続くとみており、コロナ後のビジネスモデル転換も見据え、手元資金の調達を始めている様子もうかがえる。

米老舗百貨店の倒産

百貨店業界が厳しいのは、国内だけではない。5月には、米百貨店大手JCペニーが破産した。ネット通販や大型ディスカウントストアなどを相手に苦戦していたところへ、新型コロナウイルス感染拡大の影響による一斉休業がトドメを刺し、現金収入が途絶えてしまったのだ。

同社ではリストラなどを進めて再建をめざす方針だが、雇用情勢への悪影響が懸念されている。国内でも地方百貨店がバタバタと倒れていくなか、“明日は我が身”と心痛な思いだ。

再建どうなる?改装ラッシュにも深刻な打撃

バブル崩壊以降、構造不況業種の代表格として挙げられる百貨店業界では、再建を目指して基盤強化や抜本的な構造改革を進めている。

特に近年は、各社で基幹店への大型投資を重ねている最中であった。三越伊勢丹ホールディングスでは、伊勢丹新宿店を約40年ぶりの大改装として力を入れているタイミングだ。ここへコロナショックとなると、手元資金が枯渇するのも時間の問題であり、ビジネスモデルの転換と同時にその資金繰りにも注目が集まる。

「新しい生活様式」で百貨店はどうなる?

コロナ後は、新しい生活様式が各所で求められている。百貨店ではどのようなサービスを提供していくのだろうか。

感染防止対策に追われる各店

首都圏では、緊急事態宣言の解除にともない、早期から高島屋が営業再開に向けて動き出した。高島屋では、消毒や検温を実施し、接客体制を整備した。このほか、商品の消毒や飛沫防止対策用シートの設置など、他社も同様に感染対策に追われている。

対面販売の「おもてなし」が変化?

また、百貨店ならではの「おもてなし」の在り方も「新しい生活様式」に合わせて変化しようとしている。客への声掛けは控え、距離をあけて、正面にならない位置で接客し、現金は手渡ししない。また、試着の手伝いはしないなど、これまでの百貨店では考えられなかったサービスの在り方がマニュアル化されている。

ソーシャルディスタンスを保つ条件のもと、いかに他社と差別化をはかる「おもてなし」を提供できるかが問われそうだ。

賃貸業で再建?新たな事業展開の模索も

百貨店業界では、デジタル戦略としてECサイトの充実に取り組む一方、価格の面でアパレル各社にはかなわないといった印象もある。そこで、顧客と販売員がオンラインで直接つながる仕組みを導入し、通常のアパレルECとは差別化をはかる施策も検討されている。販売員の代わりにAIが接客する機能など、新たな顧客体験を創造するサービスも登場するだろう。

アフターコロナにおいて、百貨店をとりまく環境が一層加速して変わっていくことは火を見るより明らかだ。新業態においては、もはや従来の“百貨店”ではなくなる日も近いだろう。高島屋が、旧・日本橋店に専門店街を新設し、都心型ショッピングセンター「日本橋タカシマヤ・S・C」としてリユーアルしたことや、松坂屋銀座店の跡地に銀座最大の商業施設として「ギンザシックス」をオープンしたことを見れば、すでに“テナント賃貸業”にシフトしているともいえる。

百貨店は、その大半が街の一等地に土地を所有している。これを生かして不動産賃貸で収益をあげていくことになれば、それはもう従来の「百貨店」ではない。今後、ビジネスモデル変革のタイミングを逃さないことがカギとなりそうだ。(提供:THE OWNER

文・THE OWNER編集部

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