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maとは投資手法の一つとして、主に投資信託やETFなどの資産運用をおこなう際に利用できます。
日本人の投資家の多くは基本的に極力リスクを取ることを避け、保守的な運用スタイルを好む方の割合が欧米投資家よりも多いと考えられています。
しかし、中にはリスクは抑えつつも、もう少し大きなリターンを狙った投資をしてみたいと考える方がいても不思議ではありません。
そのような方には今回ご紹介するコア・サテライト戦略は参考になるでしょう。

コア・サテライト戦略とは?
コア・サテライト戦略とは、資産運用の際にポートフォリオを守りの資産となる「コア(中核)」と攻めの資産となる「サテライト(非中核・衛星)」とに分けて運用していく投資手法です。
コア・サテライト戦略においては、コアの部分はポートフォリオの中核を占めており、長期運用を視野に入れながら守りの役割を担っています。
そのため市場での取引規模がそれなりに大きくて流動性リスクが低く、さらに低コストの商品を中心に分散投資することになります。
例えば、グローバルに分散投資が可能な米国株など先進国を中心とするETFなどの株式インデックスファンドなどが選ばれます。
コアの部分では長期的に安定した運用を可能とする商品を保有することで、市場平均にできるだけ近いリターン確保を目指していきます。
一方でサテライトの部分では、短期的な視野に立ってもう少しリスクを取って市場平均をできるだけ上回るリターン確保が期待できるような商品が選ばれます。
サテライトではリスクの取り方は投資家によって大きく分かれてくる部分でもあります。
例えば、米国株の個別銘柄に集中的に投資してもいいですし、リスクは高いものの、投資効率の良いブルベア型ファンドに資金を投じるという考え方も可能です。
コアとサテライトの比率には厳密な決まりはありませんが、「80対20」くらいが一つの目安になります。
ただし、この比率は当然のことながら投資家自身のリスク許容度や投資経験、期待収益によっても異なってきます。
いずれにしても、コアで長期の安定運用、サテライトで短期的によりリスクを取って可能な限りのリターンを狙っていくというイメージで運用していきます。
そのようにそれぞれにおいて期待される収益と予想されるリスクが異なる商品に分散投資することで、コア・サテライト戦略ではポートフォリオ全体で見た場合にバランスの良い資産運用が可能になると考えられています。
コア・サテライト戦略で「コア(中核)」となる運用商品の特徴
コアとなる部分の運用対象には長期の安定運用を前提とした商品を選んでポートフォリオを組成し、市場平均並みのリターンを目指していくことになります。
コアの対象となる商品の特徴は次のようになっています。
リスク分散されていること
コアはポートフォリオ全体の大半を占め、市場平均に準ずるリターンを狙っていくことになります。
そのために個別銘柄やアクティブ・ファンドのように商品固有のリスクを取ることは避け、よくリスク分散されたインデックスファンド(パッシブ・ファンド)やETFのように長期の安定運用に向いている商品を選んでいきます。
例えば、世界の金融市場において様々な商品のベンチマークとなるようなS&P500株価指数に連動するETFや投資信託などが一つの例として挙げられるでしょう。
低コストであること
長期運用において手数料の大きい商品を選ぶことは確実にパフォーマンスに影響してきますので、できるだけ運用コストが抑えられる商品を選んでおきたいところです。
特にリスク分散の観点からも有利であり、なおかつ低コストなETFが主な対象になってきます。
例えば、アメリカの低コストETFを提供していることで有名な大手運用会社のバンガードは業界最安の手数料となっており、「S&P500 ETF(VOO)」の場合、経費率がなんと0.03%です。
しかも、この経費率は2019年4月26日に改定されたもので、改定前でも0.04%と低いコストで抑えられていました。
高い流動性があること
流動性の高い商品はおのずと資産規模も取引高も大きい商品です。
いざという時に売却しやすいということは流動性リスクの観点からも重要です。
コア・サテライト戦略で「サテライト(非中核)」となる運用商品の特徴
サテライトとして選ぶ商品にはコアの場合の守りの姿勢と違って、攻めの運用方針に基づいたものになります。
コアで選ばれる商品よりもリスクを多めにとって、市場平均を上回ることが期待できるような商品に資金を投じていくことになります。
サテライトの対象となる運用商品の特徴としては以下の点が挙げられます。
市場平均を上回ることが期待されること
ポートフォリオ全体のパフォーマンスを上げるためにサテライトには市場平均を上回る役割が求められます。
そのため手数料やリスクが大きくなっても、より大きなリターンを狙ってアクティブ・ファンドや個別銘柄株式、株価指数や商品、通貨などの先物、プライベート・エクイティ、ヘッジファンドなど対象となる商品の幅がコアに比べて拡大していきます。
また、セクターや市場についても先進国だけでなく東南アジアやロシア、ブラジルなどの新興国の商品が選ばれたり、金や石油などの商品が選ばれることもあります。
コアとの非相関性があること
市場平均を上回るにはコアとは異なる値動きの特徴や、全く異なる種類の商品を選ぶこともサテライトでは有効になってきます。
アメリカの主要な株式指数に連動するインデックスファンドなどが選ばれることが多いコアに対して、相関性がゼロの商品で運用することはリスク分散の観点からも大きな意味を持ちます。
コア・サテライト戦略でポートフォリオを構築する手順
コア・サテライト戦略の考え方に基づいてポートフォリオを構築する場合の流れは以下の通りです。
アセットアロケーションを決める
アセットアロケーションは様々なアセットクラスに分散して投資することで、ポートフォリオ全体のリターンとリスクのバランスを取ることです。
アセットアロケーションは自分の投資目的や目標となるリターン、投資したい資産の種類、リスク許容度などに準じて決められますので、決まった形というものはありません。
アセットには株式、債券、不動産、現金(現金同等物含む)といった4つの資産クラスがあり、その中でベストなバランスを決めることになります。
例えば、株式に40%、債券に30%、REITなどを含めた不動産に20%、残りを現金といった割合をまず投資する前に決めていきます。
資産運用を開始した時点で決めたアセットアロケーションも市況の変化やポートフォリオのパフォーマンスなどに応じて変化させていきます。
コアとサテライトの割合を決める
アセットアロケーションが決まったら、次はアセットクラスごとにコアとサテライトの配分を決めることになります。
コアとサテライトのバランスは先ほど「80対20」という目安についてご紹介しましたが、実際には自分のリスク許容度などに応じて決まります。
リスクを比較的抑えた運用にする場合にはコアへの配分が高くなり、反対に積極的にリスクを取る手法としたい場合にはサテライトへの配分を高めに設定したりします。
個別の運用商品を決める
アセットアロケーションとコア・サテライトの割合が決まったら、最後に実際に運用するファンドなどポートフォリオの内容を決めていきます。
ここでは先ほどご紹介した商品ごとの相関性を意識し、同じタイミングで同じ方向に動く商品に集中投資しないように注意することが重要です。
つまり、一方の商品が下がった場合に別の商品は上がるという風に互いの値動きや投資パフォーマンスについて相関性の少ない商品でポートフォリオを組成していくと、リスク分散効果が高い資産配分になります。
まとめ
今回は主にインデックスファンドやETFなどで参考にされることが多いコア・サテライト戦略についてご紹介してきました。
コア・サテライト戦略は少額投資の場合にはあまり当てはまりませんが、それなりの資産規模で運用している場合には特に有効な投資手法となります。
また、実際にコア・サテライト戦略を用いてポートフォリオを構築する場合、資産運用を開始した年齢や投資可能な期間などによってもコアとサテライトの配分やリスクの取り方が異なってくるでしょう。
当然のことながら若い投資家であればリタイヤが近い投資家よりもリスクをとった運用が可能ですし、それがサテライトの配分を高めたり、より大きなリスクとリターンが想定されるような商品選定にもつながっていくことになります。(提供:The Motley Fool Japan)
免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。