資産税の対策をする前に!知っておきたい「税金の知識」とは?

資産税の対策をする前に!知っておきたい「税金の知識」とは?

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風間 啓哉
風間 啓哉(かざま・けいや)
監査法人にて監査業務を経験後、上場会社オーナー及び富裕層向けのサービスを得意とする会計事務所にて、各種税務会計コンサル業務及びM&Aアドバイザリー業務等に従事。その後、事業会社㈱デジタルハーツ(現 ㈱デジタルハーツホールディングス:東証一部)へ参画。主に管理部門のマネジメント及び子会社マネジメントを中心に、ホールディングス化、M&Aなど幅広くグループ規模拡大に関与。同社取締役CFOを経て、会計事務所の本格的立ち上げに至る。公認会計士協会東京会中小企業支援対応委員、東京税理士会世田谷支部幹事、㈱デジタルハーツホールディングス監査役(非常勤)。

年を経るにつれて預金をはじめ不動産、株式などの資産が蓄積されていく。それにともない財産に関する資産税が発生するので注意したい。ただし、資産税の定義や種類を知らずして対策は打てない。本記事では資産税の種類や評価についてご説明しよう。

そもそも資産税とは?

税金の知識

(画像=kitzcorner/Shutterstock.com)

資産税とは、個人の保有資産に関連して発生する課税の総称だ。具体的な課税は下記のとおりである。

・固定資産税(注1)
・資産の譲渡所得にかかる所得税や地方税
・資産を贈与・相続した場合に発生する贈与税や相続税

たとえば、都内に不動産を取得していたとしよう。毎年1月1日に所有している不動産に対して固定資産税が発生する。

また、この物件を取得価格よりも高額で売却すると、差額が譲渡所得として所得税の課税対象となる。

保有していた別の不動産を家族に贈与すると贈与税が発生し、自身が死亡したときに相続財産が一定規模あれば相続税が発生する。

税金の観点からは、相続財産として不動産と現金のどちらを残すべきかなど、考えるポイントが多い。

注1:毎年1月1日に土地、家屋などを保有している所有者に課税される地方税である。

財産の譲渡・売却にともなう税金は?

資産税の対策やポイントについて考えるために、まずは関連する税金から知っておきたい。ここでは譲渡や売却にともなう税金について説明する。

土地や建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することで発生する所得を譲渡所得という。譲渡所得の金額は下記のとおり計算される。

課税譲渡所得金額 = 収入金額(注2)-(取得費(注3)+譲渡費用(注4))- 特別控除額(注5)

具体的な要件は下記のとおりだ。

収用などにより土地建物を譲渡した場合・・・ 5,000万円
マイホームを譲渡した場合・・・ 3,000万円
・特定土地区画整理事業などを目的に土地を譲渡した場合 ・・・ 2,000万円
・特定住宅地造成事業などを目的に土地を譲渡した場合 ・・・ 1,500万円
・平成21年及び平成22年に取得した土地を譲渡した場合・・・1,000万円
・農地保有の合理化などを目的に土地を譲渡した場合 ・・・ 800万円

株式を売却した場合の譲渡所得は、「上場株式等に係る譲渡所得」と「一般株式等に係る譲渡所得」に区分し、下記のとおり計算する。

(1)上場株式等に係る譲渡所得等(譲渡益)の金額の計算方法
上場株式等に係る譲渡所得等の金額 = 総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)
(2)一般株式等に係る譲渡所得等(譲渡益)の金額の計算方法
一般株式等に係る譲渡所得等の金額 = 総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)

注2:収入金額は、資産の売却によって買主から受け取る金銭の額である。
注3:取得費は、売却した資産の購入代金や購入時の手数料などが含まれる。
注4:譲渡費用は、資産を売却するために直接かかった費用である。
注5:特別控除は、資産を譲渡した場合に一定の要件を満たす場合に適用される。

Point 譲渡所得に対して所得税及び地方税が発生する

財産の贈与にともなう資産税は?

財産に税金がかかるケースは売却や譲渡のタイミングだけではない。個人から財産を贈与されたときも贈与税が発生し、贈与されたほうが納税する。

会社などの法人から財産を贈与されたときは、一時所得として所得税の課税対象となる点に注意したい。

贈与税額は、1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の価額を合計した額(課税価格)から、基礎控除額110万円を差し引いた残額をもとに計算する。

算出に必要な速算表は下記の2種類で、贈与の条件に応じて使いわける。

【一般贈与財産用】

直系尊属以外から贈与された場合

基礎控除後の課税価格 200万円以下 300万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 3,000万円超
一般税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

【特例贈与財産用】

贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の受贈者が、父母や祖父母などの直系尊属から贈与により財産を取得した場合

基礎控除後の課税価格 200万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 4,500万円以下 4,500万円超
特例税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

なお、贈与税の申告と納税も、所得税の確定申告と同様に、贈与を受けた翌年の2月17日から3月16日までに行う必要がある。

Point 贈与財産に対して贈与税が発生する

財産を相続する場合に発生する資産税は?

亡くなった人から財産を受け継ぐことを相続という。相続では相続税が発生するが、場合によっては税金を支払う必要がない。

詳しく理解するために、相続税における課税対象額の計算手順を見てみよう。

(1)相続や遺贈によって取得した遺産総額と、相続時精算課税が適用される財産の価額を合計する。

(2) (1)から債務や葬式費用、非課税財産を差し引き、遺産額を計算する。

(3)遺産額に相続開始前3年以内の暦年課税に係る贈与財産の価額を加算し、正味の遺産額を計算する。

(4) (3)から基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を算出する。

正味の遺産額が基礎控除額を超えない場合、相続税は発生しない。ちなみに、基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数で表される。

Point 相続財産に対して相続税が発生する

資産税に関する財産評価の考え方

相続税や贈与税の算出では、相続財産及び贈与財産の価値を計算する。その際、原則として相続発生時や贈与日の時価で評価する。

しかし、納税者が各種財産の時価を適切に把握できないケースも想定されるため、国税庁は財産評価基本通達により、財産の種類ごとに評価方法を定めている。財産評価における「時価」については下記のとおり定義している。

「時価とは、課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。」

納税者は、この財産評価通達に従って財産の種類ごとに評価を行う。

Point 原則は「時価」

資産の種類による評価の違い

資産税を計算するには各資産について評価しなければならない。その際、資産の種類によって評価方法が異なる場合がある。ここからは資産ごとの評価方法について解説しよう。

パターン1.資産が現金である場合

たとえば、現金1億円の相続が発生したとしよう。相続財産は、相続発生日時点の現金残高1億円となる。

では、相続財産が銀行普通預金1億円であった場合はどうか?

財産評価基本通達によれば、定期預金などを除く利息が少額な預貯金は預金残高で評価される。よって、銀行普通預金1億円の相続財産も1億円である。

パターン2.資産が有価証券である場合

次に、相続財産が有価証券1億円の場合はどうか? この有価証券が上場株であった場合には次の価額のうち最も低い価額で評価される。

・株式が上場されている取引所が公表する課税時期の終値
・株式が上場されている取引所が公表する課税時期の属する月から3か月以前の各月の終値平均額

たとえば、相続が4月1日に発生した場合には下記の終値のうち、最も低い価額で評価する。

・4月1日の終値
・4月の終値平均額
・3月の終値平均額
・2月の終値平均額

仮に、4月1日の終値が1億円、4月終値平均額が1億2千万円、3月終値平均額が8千万円、2月終値平均額が6千万円だとしたら、有価証券の相続財産の評価は6千万円となる。

パターン3.資産が土地・建物である場合

相続財産が1億円の住居(土地建物)であった場合はどうか?

財産評価基本通達によると、宅地の評価は路線価が付された地域では路線価方式にもとづき実施され、それ以外の地域では倍率方式が採用される。

仮に、路線価方式の場合、住居が属する地域の路線価から評価を始める。路線価は、道路に接する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額で、国税庁が毎年7月に公表する。

土地の評価は、路線価×地積により算出される。実際は宅地の形状にもとづき、補正などを加味した計算を行うが、ここでは単純化しておこう。

他方、建物の評価は固定資産税評価額にもとづく。ちなみに、固定資産税評価額は公示価額の70%程度、路線価は80%程度とされている。

パターン4.居住を継続している場合

なお、居住用宅地については、最小限の居住を継続できるよう、「小規模宅地等の相続税の課税価格の計算特例」が設けられている。

そのため、今回のケースでは、相続人が居住を継続している場合、330平方メートルを上限として相続税評価額のうち80%を減額可能だ。

このように、財産が不動産の場合、現金及び預金のみを相続財産とするケースと比較して、7割から8割程度の評価額になるうえに、特例でさらに8割減額できる可能性もある。

以上のパターンから、資産の種類によって評価額が異なるため、現金及び預金に比べて評価額を低くできるケースもある。逆に財産に含み益などが発生している場合には評価額が高くなることもあるので注意が必要だ。

Point 財産評価基本通達では、財産の種類によって評価方法が違うことを理解しておく。

総資産に含まれる預金残高水準

日本人の総資産に対する預金残高水準は50%を超えており、世界的に見ても高い。財産評価という観点からは、財産における預金残高の割合をそこまで高くする必要性はないのかもしれない。

他方、納税資金や残されたファミリーに配慮して、ある程度の預金を資産構成に含めておく必要があるため、バランス感覚が問われる。それをふまえ、自ら実行できる唯一の資産税対策が「財産構成の変更」だろう。

確定申告では、1年にわたる財産の運用状況を確認できる。年に一度、財産評価を頭の片隅に置き、各自の財産構成をみつめ直してはいかがだろうか。(提供:THE OWNER

文・風間啓哉(公認会計士・税理士)

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