中国がアメリカのメディアを買収する理由とは

中国がアメリカのメディアを買収する理由とは

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(本記事は、谷本真由美氏の著書『世界のニュースを日本人は何も知らない』ワニブックスの中から一部を抜粋・編集しています)

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アフリカのメディアを買収する中国

中国,アフリカ

(画像=Oleg Elkov/Shutterstock.com)

海外では頻繁に報道されているニュースでも、どういうわけか日本ではほとんど取り上げられないものが多いのです。特に英語圏やフランス語圏のメディアと日本のメディアでは、ずいぶんと違うニュースが取り上げられるものです。それらの国がかつてイギリスやフランスの植民地だったという歴史と、アメリカのように移民で構成される多民族国家であることが密接に関係しています。

国際報道を担当する人たちは少なからず移民の二世か三世で、現地の事情に通じていたり英語に堪能だったりします。もともと留学生だった移民一世を採用していることもあります。また戦時中から続いている報道機関は国の諜報機関として活躍していたこともあり、海外の事情には裏の裏まで精通し、かなりのコネを持っていることもあるのです。

そんな背景により、日本の報道では見聞できない情報に接することが頻繁にあります。

たとえば、中国に関する報道がその代表的なものといえるでしょう。

日本にとって身近な国である中国に関して、日本でも当然多くの情報が報道されています。それらは日本国内での中国企業による不動産買収や中国国内の政局、環境汚染、軍事的な行動、また最近では中国のIT企業の躍進といったニュースが中心です。

とはいえ中国が他の国で一体何をやっているか、中国が新興国においてどのような影響力を持っているかということを知っている日本人はどれほどいるでしょうか。

実は中国は、つい最近まで日本から開発援助を受けていたにもかかわらず、アフリカや南米で大変強い影響力を及ぼしていると知っている日本人は多くはありません。日本のメディアではほとんど報道されないこのような情報が山ほどあるのです。

たとえばアフリカの南部にボツワナという国があります。この国で外交官を務める友人の情報によると、20年以上前にはすでに中華料理屋が点在し、中華は地元の人々にとって馴染みのある料理として浸透していたそうです。地元の建設プロジェクトを中国の企業が請け負い、中国からやってきた労働者が働いているのもめずらしくありません。

中国政府は20年以上前から資源の確保や覇権の確立のために、アフリカ諸国でも官民をあげて大きな影響力を及ぼしてきたのです。

地元の開発プロジェクトを政府が請けることも影響力の行使ですし、民間企業が中国人労働者を送り込んで地元の仕事をすることも、中国のプレゼンスを確立するうえで大変重要性があります。

また最近英語圏で話題になっていたニュースといえば、中国の政府がソフトパワーの面でアフリカ各国に影響を及ぼし始めているということでしょう。

ソフトパワーとは、軍事力や経済力などで強制的に従わせるのではなく、文化や価値の提供といった魅力で他者に影響を与え、望ましい結果を得る概念を意味します。ハーバード大学ケネディ行政大学院の教授であり、アメリカを代表する安全保障問題の専門家、またクリントン政権では米国家情報会議議長や国防次官補として活躍したジョセフ・S・ナイ氏が唱えた概念です。

国際政治の世界では、ある国が武力や経済力によって支配したり影響力を及ぼしたりすることが一般的でした。テレビやラジオ、新聞、雑誌といったメディアの発達にともない、それらを使って自国に有利な情報を発信して他国の世論を動かし、選挙に影響を及ぼすという間接的なアプローチによって自国の外交を有利にしようという考え方です。

この考え方は19世紀から存在しており、イギリスの外交官であったE・H・カーは『危機の二十年』(岩波書店)のなかで、意見を支配する力(power over opinion)は国際政治における軍事力、経済力に並ぶ影響力だと述べています。ところが昔はメディアが現在ほど発達していなかったので、影響力を発揮するには大変な手間とコストがかかりました。

衛星放送やインターネットの発達により、情報の配信が大変楽になりコストも劇的に抑えられたことで、国際政治の様相はガラリと変わってしまったのです。

世界のニュースを日本人は何も知らない

谷本真由美
著述家。元国連専門機関職員。1975年、神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院にて国際関係論および情報管理学修士を取得。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。ツイッター上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。

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