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日本人にとって最も身近な米国といえばハワイでしょう。
日系人も多く、日本語も通じるハワイは1度訪れると何度も通いたくなる魅力で溢れています。
太平洋のど真ん中に浮かぶ楽園ハワイは今、かつてないほどの活況に満ちており、観光収入と観光客数が毎年のように最高記録を更新しています。
その要因として挙げられるのが米国本土からの集客数の増加です。
2018年には636万人を記録しており、西海岸や東海岸からの航路も増加傾向にあります。
その一方、日本からの観光客数は1997年の221万人をピークにして、2018年には157万人と減少しています。
90年代に起こった日本のバブル経済の崩壊を契機に、ハワイは米国本土の観光客を取り込もうと緻密な観光マーケティングに力を注ぎます。
米国本土の人から見ればフロリダ、カリブ海など、ハワイと比較するライバルとなる観光地が存在し、違いを出すにはビーチリゾートだけでは物足りず、ハワイ独自の文化性の成熟と発信こそ、本土にはない魅力として打ち出したのです。
こうした背景から見ていくと、ハワイの不動産人気も納得するはずです。今回はハワイの不動産投資を中心に、ハワイ経済圏についても考察していきます。

ハワイの経済構造や観光指標
ハワイは複数の島々からなる諸島であり、人口は142万人、面積は1万6634㎢、1人当たりのGDPは679万人です。
観光客数の内訳は国内比率が62%(米国西部41%、米国東部21%)、日本17%、その他の国、という比率です。
そしてハワイの総生産比率のトップにくるのが不動産業20%、続いて小売業10%、宿泊・飲食業9%、建設業7%、と続いており、観光関連業が大きな収入源となっています。
現在の活況の要因となったのが日本経済の低迷にあると言われています。
90年代までのハワイは良くも悪くも古い街並みが色濃く残り、米国本土の人には今ほど魅力的には映っていませんでした。
日本人観光客に甘えてきた、という言い方もできるでしょう。
バブル崩壊後に日本人観光客が減少していくなかで、ハワイ州政府はHTA(ハワイ州観光局)を設立し、ホテルの宿泊税を増税して財源を確保する政策を打ち出し現状打破へと成功します。
豊富な財源を新たな観光資源へと再投資したのです。
恵まれた気候風土やハワイ固有の文化、ローカル戦略、様々な要素が揃い、ハワイは持続的な経済成長を実現しているのです。
さらなる発展が見込まれるからこそ、「投資」という観点からもハワイは有望な土地といえるでしょう。
現在、ハワイには世界中のホテル企業の熱視線が注がれ、有名ホテルの再開発計画が進んでいます。
日本では京屋グループ(国際興業)が1963年に進出しており、「シェラトンホテル・ワイキキ」「シェラトン・プリンセス・カイウラニ」などハワイで5軒を運営しています。
そして今年の2月にはカイウラニの再開発を公表しました。
最近のハワイ不動産のトレンドとして、改装により客室数は変えずに1室あたりの面積を増やし、客単価を上昇させています。
また新規参入の不動産会社はホテルレジデンスといってホテルの1室を購入してオーナーとなり、自身が利用しない期間は貸し出すことで賃料収入を得るケースと年52週のうち一定期間の利用権を得るタイムシェアというケースが多くなっています。
不動産会社としてもホテル運営よりも客室の所有権や利用権を販売する方が投資回収が早いメリットがあり、こうした事業モデルが循環していることから、ハワイへの不動産投資がさらに大きな注目を浴びているのです。
ハワイ不動産は大きな節税効果が狙える
世界中にあるリゾート地の中でも、ハワイは日本人とって投資しやすい場所です。
日本人や日系人も多く、災害リスクも低いので不動産価格も安定しています。
実際、ハワイの不動産を購入する外国人投資家のトップが日本人です。
人気の理由は気候だけでなく安定した不動産価格で推移していることと、日本で不動産を購入する場合よりも節税効果が大きいことが特徴でしょう。
ハワイは土地が小さいため、新築住宅を供給するよりも中古不動産の需要が高いことが背景にあり、築年数が古くなっても不動産の資産価値はあまり下がらず、不動産価格に占める建物の比率も高いのです。
また節税効果として、ハワイの不動産賃貸収入を日本で不動産所得として申告する場合、「法定耐用年数」が国内の不動産と変わらないため、建築比率が高くなると減価償却費も多く計上できるため、大きな節税効果へと繋がっていきます。
つまり、法定耐用年数を超えた物件はとても狙い目の不動産といえるのです。
木造は22年、鉄筋コンクリート造は47年が法定耐用年数であり、それを超えた物件は木造は4年、鉄筋コンクリート造は9年で減価償却費を計上できるのです。
ハワイという環境と節税効果という側面からもハワイの不動産人気は今後も続くはずです。
借地権に注意
ハワイの物件は戸建てとコンドミニアムという2つのタイプに分かれています。
特徴として戸建ては中心部からやや郊外にあるため、落ち着いた住環境が望めます。
価格が高い不動産も多いものの木造建築なのでその分の節税効果も大きいのです。
コンドミニアムは都心部の利便性が高い立地にあり、日本の分譲マンションとほとんど変わりません。
ところが最近、鉄筋コンクリート造のコンドミニアムでも法定耐用年数を超える物件が市場に出始めています。
そうしたなかで気をつけたいのが、土地は別の所有者である「借地権付き」の物件です。
所有権と比較すると価格も安い分、契約内容には特に注意が必要です。
地主によっては契約更新の際に地代を大幅に上げるリスクがあり、条件が合わずに契約更新ができないと、不動産を手放さなければならないトラブルも発生しているからです。
国内とは勝手が違うため、契約の際は物件購入や購入後の管理もしっかりと手がけてくれる会社を通すのもリスクヘッジの観点から大切でしょう。
ハワイのタワマン人気の光と影
ハワイでもタワマンは人気で不動産価格が高騰しています。
ハワイ在住者の購入層は医者や弁護士などの士業や会社の経営者層などの高収入世帯と、30年〜40年前に購入した自宅のローンを完済したシニア世帯層です。
ハワイの不動産価格は右肩上がりで上昇しており、住宅価格も2001年の平均26万9000ドルから2016年には平均63万2500ドルへと跳ね上がっているのです。
そのため自宅を売却してタワマンを購入するケースも多いのです。
タワマンもさらに値上がりすることが期待されており、資産家にとってはとても有利な局面と言えるでしょう。
一方で懸念材料もあります。
それはハワイ在住者の平均所得が伸び悩む一方、家賃や物価は高騰しており、若年層になればなるほど購入が難しくなるという経済格差が広がっているのです。
そのため優秀な学生は米国本土へと流れてしまうのが現実ケースとして日常化しています。
州政府も対策として新規のコンドミニアムに対して全体の20%は低所得者層向けに分譲するという条例も定めていますが、抜本的な改革にはならないでしょう。
低所得者層の基本条件は毎年変わるものの、1人世帯の場合は年収6万7500ドル以下、4人家族の場合は年収9万6400ドル以下としています。
美しい風景と気候によって観光客を惹きつけてやまない楽園ハワイにも、いざ生活するとこういった現実があることも認識しておくことが大切です。
おわりに〜ハワイは投資先として魅力的なのか〜
投資先を考えるときに大切なことは、普遍的な需要があるのか、今後も成長が見込めるのか、という視点がとても大切だと思います。
なぜこれだけ多くの人がハワイに魅了されるのでしょうか。
ハワイには人間の感性に訴えかける自然風土やハワイ独特の南国の匂い、フラ文化など、世界一とも呼べる自然と観光資源が絶妙に融合しています。
これこそ、ハワイが今後も魅力的な投資先である何よりの証ではないでしょうか。
投資対象に不動産を選ぶなら、国内だけでなくハワイも視野に入れてみると、思わぬ巡り合わせがあるかもしれません。
ハワイには日本にはない魅力が沢山溢れているのです。(提供:The Motley Fool Japan)
記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。